Case

[許認可・営業届出] 権利金契約に押印してから、ようやく建築物台帳を開きました

September 6, 2026황윤상 행정사AI

仁川市延寿区松島に事務所を構える行政書士です。実務で出会った一件を整理しておきます。

台帳を二枚、並べて置いた

その日、私は区役所の市民課の隅にある机で、建築物台帳を二枚並べて置いていた。

一枚は2019年に発行された写しだった。依頼人が権利金契約の際、前の借主から受け取っておいたもの。もう一枚は、その週の月曜に私が自分で取得した最新のものだった。

表題部の構成は同じだった。階別面積、構造、用途。数字もほとんど同じ。違うのはたった一行だけだった。最新版の右上、他の文字より少し小さな活字で、五文字が押されていた。

違反建築物。

2019年の写しにはなかった文字だ。同じ建物、同じ号室、同じ面積。それなのに一枚にはあり、一枚にはない。

この一行のために、ある家族の開業が五か月近く遅れた。

先に押印してしまった

依頼人は三十代後半のご夫婦だった。相談の申込みはご主人がメールで先に入れており、返戻通知の写真と賃貸借契約書の写しが添付されていた。お会いする前に、検討はすでに半分ほど終わっていた。

経緯はこうだ。

ご主人はその年の春、十二年勤めた会社で希望退職に応じた。退職金と借入を合わせた資金で、奥様と一緒に麺料理の店を開くことにした。奥様には十数年かけて手に馴染んだ出汁のレシピがあり、ご夫婦はそれを店にするつもりだった。小学生のお子さんが二人いた。

物件は裏通りの奥、一階の82平方メートル。同じ場所で定食屋が五年ほど営業していて、ちょうど畳むところだった。権利金は4,800万ウォン。内装の契約金1,000万ウォンが別に出ており、家賃は月260万ウォン、フリーレント二か月の条件だった。

ご夫婦はこの順序で進めた。物件を見て、前の店主に会い、権利金契約書に押印し、賃貸借契約を結び、内装業者を決め、税務署へ行って事業者登録を出した。そして最後に、区役所の衛生課へ営業届出書を出した。

最後に出したその書類が返戻された。

ご夫婦が確認していなかったのは、たった一つだけだった。契約前に建築物台帳を開くこと。政府24で無料、三分で終わる作業だ。

返戻理由は一行だった

最初の返戻通知書に書かれた理由は短かった。

「当該建築物が建築物台帳上、違反建築物として登載されているため、営業届出の受理不可。」

ご夫婦はその場で担当者に尋ねたという。前の店主は五年間同じ場所で飲食店をやっていたのに、なぜ自分たちは駄目なのかと。担当者は建築課に問い合わせるよう案内した。

建築課へ行った。違反部分が是正されれば表記が消える、という回答だった。では是正はどうすればよいのかと尋ねると、所有者が自主的に撤去して申請しなければならないと言われた。所有者は貸主だった。貸主に電話した。貸主は、自分が造ったものではなく前の借主が造ったものだと言った。

ご夫婦は三日間で三か所を回り、それぞれの回答はどれも間違ってはいなかった。ただ、どの回答もご夫婦を前へ進ませはしなかった。

行政手続でよくある状況だ。窓口ごとに自分の所管の範囲で正確な答えを出す。その答えを一つの順序に貫く作業は、どの窓口の業務でもない。

ご夫婦が事務所に予約を入れたのは、その翌週の火曜日だった。

前の店主はなぜ通ったのか

まず解くべきはこの問いだった。同じ場所で前の店主は五年間営業した。なのに、なぜ新しい届出は通らないのか。

ご夫婦は、担当者が自分たちにだけ厳しいのではないかと疑っていた。その疑いを解いておかないと、以後の手続の間ずっと感情が消耗される。だから、これを先に確認した。

前の店主の営業届出受理日は2019年4月だった。違反建築物の表記が台帳に載った時点は2024年後半。区役所が航空写真の判読で無断増築を確認し、登載したものだった。

つまり前の店主は、表記が付く五年前にすでに受理を受けていた。一度受理された届出は、その後に台帳へ表記が付いたからといって自動的に消えるわけではない。一方、新規の届出は受理時点の台帳を基準に審査される。同じ場所なのに結果が分かれる理由はここにあった。

担当者がご夫婦にだけ違う対応をしたのではない。時点が違っただけだ。

この説明を聞いて、ご主人が尋ねた。「では前の店主さんは、知っていて譲ったのでしょうか。」

私は分からないと答えた。実際、知らない場合も多い。航空写真の判読で登載されると、是正命令は所有者に行くのであって、借主に通知が行くわけではない。前の店主が知らなかった可能性は十分にあった。

大事なのはそこではなかった。今、店を開けるのか、開けるとすればいつなのか、だった。

返戻理由を書面で受け取った

最初にしたのは、返戻理由を文書で改めて受け取ることだった。

すでに返戻通知書があるのに、なぜまた受け取るのかと問われるかもしれない。理由がある。通知書の「違反建築物として登載されているため」という一文は、二通りに読める。

一つは、建物に違反表記があれば、その建物のどの号室でも届出を受理できないという意味かもしれない。もう一つは、違反として登載されたその部分が、届出しようとする営業場の中に入っているために受理できない、という意味かもしれない。

この二つはやるべきことが全く異なる。前者なら建物全体の問題で、こちらが手を付けられることはほとんどない。後者なら、営業場の範囲を引き直すだけで解決の余地がある。

そこで届出人名義で衛生課に書面照会を出した。返戻の根拠が建物単位なのか営業場面積単位なのか、違反部分を営業場から除外した場合に受理可能か、この二点を尋ねた。

書面で問えば答えも書面で来る。書面に残る答えは、窓口ごとに変わらない。これは担当者に圧力をかけるためではなく、以後の手続全体が立つ土台をつくる作業だ。

九日後に回答が来た。要旨は二つ目だった。違反として登載された部分が届出書に記載された営業場面積に含まれており、その部分を除外して施設基準を満たすのであれば検討可能、という内容だった。

扉が完全に閉じたわけではなかった。

8.4平方メートルの正体

回答を受けて現場へ再度行った。今度は巻尺を持って行った。

問題の部分は、建物の裏手に付いた8.4平方メートルのパネル構造物だった。前の借主がいつか厨房を広げようとして裏庭側に増築したもの。外から見ると倉庫のようだが、内側はホール・厨房と扉なしにつながっていた。

ここに何が置かれているかが鍵だった。測ってみると、その中に二口ガスコンロ一台、業務用冷蔵庫二台、そして流し台があった。つまり調理場のかなりの部分がその8.4平方メートルの中に入っていた。

回答の内容どおり、この部分を営業場から除外して届出できるか計算してみた。残る空間はホール側の調理台の一部だけだった。飲食店営業は調理場を備えなければならず、調理場は客席と区画されていなければならない。残る面積ではその要件を満たせなかった。

そこでこの案は取り下げた。取り下げた理由をご夫婦にそのまま説明した。「除外すれば届出は通りますが、そうすると麺を茹でる場所がなくなります。」

選択肢は一つに絞られた。違反部分を実際に片付け、台帳の表記を消したうえで、改めて届け出ること。

問題は、それをできる人がご夫婦ではないという点だった。建築法上、是正義務は建築物の所有者にある。借主が他人の建物を壊すことはできない。

他の物件を見た方がよいのではないか、と問われた

ここまで整理したところで、ご主人が尋ねた。いっそこの物件を諦めて他を探した方が早いのではないか、と。

当然出てくる問いだった。そしてこの問いに「とにかくやってみましょう」と答えるのは無責任だ。実際、畳んだ方がよい案件もある。

だからその場で二つを並べて計算した。

この物件を引き払う場合。権利金4,800万ウォンは回収できるかどうか不確実だ。権利金は借主同士の問題なので役所は介入せず、回収するには別途争わなければならない。そこに、すでに出ている内装契約金1,000万ウォン、さらに新しい物件で改めて発生する権利金と内装費が加わる。

この物件を生かす場合。残る変数は三つだった。所有者が撤去に同意するか、撤去後に台帳の表記が実際に抹消されるか、その過程に何か月かかるか。費用自体は撤去費340万ウォンがすべてで、それすら負担者が決まっていない状態だった。残りはすべて時間だった。

まとめると、出て行く方は、すでに出た金を確定損失にしたうえで新たな費用を使う選択だった。残る方は、金はほとんどかからず時間だけがかかる選択だった。

ただし一つ条件が付いた。所有者が最後まで撤去を拒めば、残る方は成り立たない。そこでこう提案した。所有者との協議を先にやってみて、その結果次第で判断しましょう、と。協議に使う時間は二週間と定めた。

期限を決めておかないと「もう少しだけ待ってみよう」が繰り返される。そのうち、決めないまま半年が過ぎる。決定を先送りすることも一つの決定であり、この場合はいちばん高くつく決定だ。

所有者が誤解していたこと一つ

貸主は六十代前半の建物所有者だった。電話の第一声は断固としていた。自分が建てたものでもないし、壊せば次の借主を見つけにくくなるからできない、と。

この反応は予想の範囲内だった。所有者の立場では、撤去は費用が出ていくだけで得るものがないように見える。ここで感情で押しても何も進まない。

代わりに私は一つ確認した。この建物に履行強制金が何回賦課されているかだ。

貸主の同意を得て賦課履歴を確認したところ、2024年と2025年にそれぞれ一回ずつ賦課されていた。二件合わせて480万ウォンほどで、2025年分は未納の状態だった。

電話で貸主はこう言った。「あれは去年一度払いましたよ。払ったら終わりじゃないんですか。」

ここが分かれ道だった。

「建築法」第79条による是正命令を履行しなければ、同法第80条により履行強制金が賦課される。そしてこの履行強制金は過料とは性格が異なる。過料は違反行為一回につき一回賦課されて終わるが、履行強制金は是正されるまで繰り返し賦課される。一度払えば終わる金ではなく、直さなければ出続ける金だ。

平たく言えば、貸主はすでに480万ウォンを払っており、今後も違反状態が続く限り毎年同じような金額を払う予定だった。撤去費の見積りは340万ウォンだった。

この計算をA4一枚にまとめてお送りした。賦課履歴二件、今後の反復賦課の構造、撤去費の見積り、そして是正後に表記が抹消されれば賦課が止まるという点。

五日後、貸主から連絡が来た。撤去するという返事だった。

役所であれ相手方であれ、態度が変わるときには理由がある。ここでの理由は説得ではなく算数だった。貸主は反復賦課の構造を知らなかっただけで、知ってみれば撤去の方が安い選択になった。

ご夫婦と貸主の間では、撤去の範囲と費用負担、そして撤去後の厨房の再設置を誰がするのかについて取り決めが必要だった。その合意内容は必ず文書に残すよう勧めた。口頭でまとめた条件は、二か月後には互いに違うふうに記憶される。

後ろから逆算して組んだ

撤去の同意を得た翌日、全体の日程を組み直した。

ご夫婦が最初に組んだ日程は、前から順に進めるやり方だった。契約して、内装をして、届け出て、開ける。ほとんどの人がこう計画する。ところが許認可が絡む仕事は、こう組むとほぼ例外なく遅れる。前の段階が一日ずれると後ろが丸ごとずれ、途中に役所の処理期間が挟まっていれば、その期間は縮められないからだ。

そこで逆に組んだ。開店の日を最後に置き、そこから逆に上がりながら各段階に必要な日数を付けていった。

逆に上がるとこうなる。店を開けるには営業届出証が要る。届出証が出るには受理後に数日かかる。受理してもらうには台帳に違反表記がないことが必要だ。表記が抹消されるには現場確認が終わっていなければならない。現場確認が入るには自主是正の届出が受理されている必要がある。受理してもらうには撤去が終わっていなければならない。撤去するには所有者の同意と撤去業者の日程が要る。

こう並べると、最も時間のかかる区間がどこかが見えてきた。撤去自体は一日、書類作成は二日あれば済む。ところが自主是正届出後から現場確認までの待機、そして表記抹消の処理期間は、こちらが縮められない区間だった。ここに数週間が入る。

こちらが縮められるのはこの二区間ではなく、その区間の間に他の作業を並行で回すことだった。

そこでこう配置した。現場確認を待つ間に営業届出書と施設配置図を仕上げておき、奥様の健康診断結果書を取得しておき、消防該当の有無の回答を受け取っておき、内装の残工程のうち厨房配管のように撤去と無関係な部分を先に終えておく。表記が抹消される日の午後にすぐ受理を受けられるように。

内装業者にもこの日程表を共有した。業者の立場では、いつまた入ればよいのか決まらなければ他の現場に人を回す。日付を出せば押さえてくれる。実際、日程調整は二回で済んだ。

この分野の相談で最もよく聞く言葉が「開店日をもう決めてあるんですが」だ。そういうときにすべきは、その日付を守って差し上げることではなく、その日付が可能な日付なのかを後ろから計算してお見せすることだ。無理な日付を守ろうとして無届営業に踏み込むより、可能な日付に動かす方がはるかに安く済む。

消防はやらなくて結構です

撤去日程を調整している間に、内装業者から届いた修正見積書を検討した。

そこに新しい項目が一つ入っていた。消防安全施設工事と完備証明に関する費用、380万ウォンだった。業者の担当者は「最近の飲食店はみんなやらなければならない」と説明したという。

多衆利用業所に該当すれば、安全施設等完備証明書、いわゆる消防必証がなければ営業届出証は出ない。これは正しい。しかしすべての飲食店が多衆利用業所であるわけではない。一般飲食店は営業場の床面積の合計が一定基準以上のときに多衆利用業に該当し、地下階か地上階かによって基準面積が異なる。

この店は地上一階で、違反部分を除いた営業場面積は74平方メートル余りだった。基準線の下だった。

管轄消防署に多衆利用業への該当の有無を確認し、非該当である旨の回答を書面で受け取った。この一枚で380万ウォンの項目が見積りから外れた。

ここで押さえておくべき点がある。内装業者が間違いを犯したのではない。業者は施工をする人たちであって許認可の判定をする人たちではなく、曖昧なら入れておく方が安全だと判断する。ただ、その判断の費用は店主が払う。

この分野で私たちがしている仕事のかなりの部分がこれだ。私たちは何が必要で何が必要でないのか、そしてどの順序で行うべきかを判定し、書類に責任を持つ。

ご夫婦にはその日こう申し上げた。「これまで出たお金は取り戻しにくいですが、これから出るお金は減らせます。」

試食会は駄目です

撤去日程が決まってから、ご主人が遠慮がちに尋ねた。

厨房設備はすでに入っており、ホールの内装もほぼ終わっている。家賃は毎月出ていく。正式な開店ではなく、知り合いだけを呼んで試食会くらいならよいのではないか、ということだった。

切実な問いだった。フリーレント二か月はすでに終わっており、その時点までに出た家賃は三か月分だった。

私は止めた。強く止めた。

営業届出が受理されていない状態で食べ物を作って提供すれば、無届営業になり得る。金を受け取らなかったという事情が、常に盾になるわけではない。そして無届営業の法定刑は三年以下の懲役または三千万ウォン以下の罰金である。ここに看板の撤去、営業不適格の掲示文の貼付、営業器具の封印といった行政措置が付いてくる。

大法院も同じ趣旨の判断をしたことがある。営業届出の要件をすべて備えた者であっても、その営業場の建築物が建築法上の許可を受けていない無許可建物であれば適法な届出はできず、その状態で営業を続けたことは無届営業に当たる、というものだ(大法院2009年4月23日宣告2008ド6829判決)。

ここでより重いのは順序の問題だった。ご夫婦はすでに事業者登録を済ませていた。税金計算書を受け取るために、内装契約と併せて税務署から先に回ったのだ。許認可が必要な業種は、許認可を先に受けてから事業者登録をするのが原則である。事業者登録証が手元にあると「もう商売してよさそうな」感覚が生まれるが、その感覚がまさにこの地点で事故を起こす。

事業者登録証は税務関係の書類であり、営業できる資格は営業届出証から生じる。二枚は別の文書だ。

ご夫婦は試食会をしなかった。四か月目に入ったあの頃が、最も耐えがたい区間だっただろう。

航空写真を待たない方法

撤去自体は一日で終わる作業だった。本当の関門はその次だった。

建築物台帳の違反建築物表記は、撤去したからといって自然に消えるわけではない。是正の事実が確認されて初めて抹消される。そしてその確認方法が問題だった。

担当部署に尋ねると、違反事項は通常、航空写真の判読結果で一括整理するとのことだった。判読は年単位で回る。次の回まで待てば六か月以上残っていた。それまで待てば、ご夫婦は家賃だけでさらに六か月分を払い、その時点で事業は事実上畳むことになる。

そこで航空写真を待たない経路を選んだ。違反事項の自主是正届出を出し、担当者の現場確認によって是正の事実を確認してもらう方式だ。この経路自体は特別なものではない。ただ、現場確認の日程を組むのに時間がかかり、資料が薄いと再訪が生じる。

日程を早めるには、担当者が現場で判断する材料をあらかじめすべて揃えておかなければならない。そこで次を用意した。

第一に、撤去前の写真を撤去当日の朝に撮り直した。既存の写真は数か月前のもので、現在の状態の基準点にならなかった。

第二に、撤去の過程を段階別に撮影した。パネルの解体、躯体の撤去、床の整理の順で。撤去後の写真だけでは「もともとそうだったのではないか」という問いが残る。

第三に、撤去業者から廃棄物処理確認書を受け取った。建築廃棄物が実際に搬出されたという客観的資料だ。写真は角度を選べるが、処理確認書はそうはいかない。

第四に、撤去後の状態を反映した現況図面を描き直した。後で営業届出書に添付する施設配置図と面積は、ここで確定する。同じ図面を二度描かないよう、この時点で整理した。

第五に、申請書に所有者と借主の連絡可能な時間を明記し、現場確認の際は即時に開錠可能である旨を書いた。些細に見えるが、担当者が日程を組む際に実際に影響する。

この五つをまとめて自主是正届出書を受理してもらったのが、撤去の二日後だった。現場確認は十一日後に行われ、再訪なしに一度で終わった。

パネルの裏から出てきたもの

撤去当日に小さな出来事が一つあった。

パネルの壁を剥がすと、その裏の空間から古い木の看板が一つ出てきた。前の借主の定食屋の屋号が書かれた、ペンキが半分剥げた板だった。おそらく新しい看板に替えるときに捨てるのが惜しくて壁の裏に立てかけておき、そのまま覆われたのだろう。

ご夫婦はそれを水で洗って乾かした。そして開店後、ホールの奥の壁に掛けておいた。奥様の話では、この場所で先に五年を持ちこたえた人がいたということが、不思議と慰めになったそうだ。

撤去現場から出てきた品が内装の小物になったわけだ。もともとは無くすために壊した壁だったのに。

表記が消えた日

現場確認が終わって九日後、建築物台帳から違反建築物の表記が抹消された。

抹消を確認したその日の午後に、営業届出書を改めて提出した。提出書類はあらかじめすべて作ってあった。表記が消えてから書類を作り始めれば、また数日が流れる。

このとき押さえたものを記しておく。

営業場面積の再確定。撤去後の図面を基準に74.3平方メートルとして書き直した。最初の届出書の82平方メートルをそのまま出していれば、台帳の面積と合わず再び返戻され得た。

衛生教育修了証と健康診断結果書。原則は届出前の修了だ。ご主人は最初の届出準備の際にすでに取得していたが、奥様はまだだった。営業者名義はご主人単独なので届出自体には問題がなかったが、実際に調理に従事する奥様の健康診断結果書は別途必要だった。この部分を提出前に整えた。

新しい台帳の写しの添付。違反表記が抹消された最新の台帳を自ら取得して添付した。担当者がシステムで照会できる事項だが、添付しておけば審査の流れが一段階短くなる。

届出手数料28,000ウォン。

そしてご夫婦にもう一つ案内した。届出証を受け取ったからといってその日で終わりではない、ということ。届出官庁は届出証の交付後、一定期間内に施設確認に来る。届出書に書いたとおりに施設が維持されていなければならない。開店直後に厨房の配置を変えたり席を増やしたりすると、ここで引っかかる。

営業届出証は受理の四日後に出た。最初の返戻から四か月と十日目だった。

開店三日前、値段表の話

届出証が出て開店日を決めた後、ご夫婦ともう一度お会いした。今度は処分ではなく予防の話だった。

2026年9月1日から、値段表に関する行政処分の基準が変わった。従来は値段表を掲示しない、または掲示した価格より多く受け取った場合、一次は是正命令だった。改正後は一次から営業停止5日である。二次10日、三次20日と上がる。一度は大目に見てもらえた段階がなくなったわけだ。

新しく開ける店がここに引っかかり得る場面は思ったより多い。材料費が上がってメニュー価格を調整したのに壁の値段表をそのままにしている場合、デリバリーアプリの価格と店頭価格が食い違う場合。どちらも悪意でやることではないのに、結果は店を閉じることだ。

逆に店主に有利になった変化も同じ日に併せて施行された。営業届出証を営業場内に保管しなければならない義務と、それに伴う過料規定が廃止された。届出証を紛失すると過料が出るという話は、もう昔の話だ。担当公務員がシステムで確認できるのに、紛失を理由に処分するのは過度だという趣旨である。ただし変更届出の期限7日はそのままだ。屋号を変えたり営業場面積を変えたりすれば、7日以内に届け出なければならない。

ご夫婦には、値段表をラミネート加工して貼らないようにと申し上げた。価格を変えるたびに刷り直して差し替えられる形の方がよい。ラミネートした値段表は、なかなか変えなくなる。

行政で事故は、たいてい悪意からではなく面倒くささから起きる。

事案ごとに要件と処分基準が異なるため、実際の適用の可否は管轄官庁への個別確認が必要である。

五か月

店はその年の秋に開いた。

初回相談から開店まで四か月半、ご夫婦が最初に権利金契約書へ押印した日から数えれば五か月と少しだった。その間に出た家賃は六か月分で、内装業者との日程も二度調整された。

振り返れば、この件で実際に難しかった部分は法理ではなかった。条文が複雑な案件でもなかった。難しかったのは、答えが三か所に分かれていて、その三つの答えをどの順序で踏むべきかは誰も教えてくれないという点だった。

衛生課は台帳が整理されなければならないと言い、建築課は所有者が申請しなければならないと言い、所有者は自分が造ったものではないと言った。三つとも正しかった。その間に順序をつくる作業が残っていただけだ。

そしてこの一連の過程は、契約前に建築物台帳を一度開いていれば丸ごと存在しなかった。政府24で無料、三分で終わる作業だ。物件が気に入って気が急くとき、その三分が真っ先に省かれる。

開店してしばらくして、奥様が事務所に立ち寄られた。出汁を入れた容器を一つ提げて来られ、その日の事務所は午後じゅう麺の匂いがした。

行政手続はしばしば人の始まりを何か月も先延ばしにする。その時間をできるだけ短くすることが、私たちのする仕事の一つだ。

こういう状況なら

① 契約前に建築物台帳を開く。政府24で無料で閲覧できる。表題部に違反建築物の表記があるか、建物の用途がやろうとする業種に合っているか、この二つを見る。権利金契約書に押印する前にやるべきことだ。

② 返戻理由が曖昧なら書面で改めて問う。建物単位の問題なのか営業場範囲の問題なのかによって、やるべきことが全く変わる。

③ 履行強制金は一度払って終わる金ではない。是正するまで反復賦課される。所有者と協議する際にこの構造を正確に共有すれば、対話の方向が変わる。

④ 営業届出証が出る前に食べ物を出さない。試食会、知人の招待、無料提供、いずれも危険だ。事業者登録証は営業する資格を与える文書ではない。

⑤ 許認可が必要な業種は、許認可 → 事業者登録の順序だ。税務署から先に回ると順序がこじれる。

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本稿は実際の相談事例をもとに再構成したものであり、登場する人物・屋号・地名・数値は特定の個人や事件とは無関係です。本事例は理解を助けるために再構成した架空の物語です。

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